Project Description

BPMNで業務フローを作成。業務可視化・マニュアルとしての活用・連携効率化を目指す!

2021年現在、髙島市長のもとで積極的なDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する福岡市。全庁公開の業務フローはiGrafxで作成されています。DX推進の核である総務企画局ICT戦略室に、iGrafxの導入による業務改善についてお話を伺いました。

(写真中央2名:ICT戦略室システム刷新課 中上課長、右:システム刷新係 河地氏)

福岡市役所 総務企画局 ICT戦略室 システム刷新課

■所在地 福岡市中央区天神1丁目10-1
■概要 福岡市は国際表記基準であるBPMN※を採用した業務プロセス改革を導入しています。これは、全国に先駆けた先進的なモデルとして注目されています。

※Business Process Model and Notation(業務可視化のための国際基準表記法)

行政の縦割り構造を可視化、全庁でフローが閲覧可能

― BPMNで業務フローを作成することになった経緯を教えてください

平成27年度に策定したシステム刷新計画において、「業務プロセス改革」を掲げ「業務プロセスを見える化しBPMNでフローを書く」という方針を打ち出しました。

問題解決の方向性として、既存の業務のプロセスを可視化し、見直し、標準化することを通じて、行政手続きの簡素化や効率化を実現し、行政サービスの高度化に結びつけることを目的としました。

福岡市は人口1万人あたりの職員数が政令市の中で最も少なく、限られたリソースで業務を遂行するには、現行業務の見直しを行い、より効率的な作業を行うことが求められます。そのためには、市職員が操作しやすいこと、多くの職員がマニュアルとして活用できること、現状の問題・課題を管理しやすいこと等を踏まえ、誰もがわかりやすい業務フローを作成した上で、定期的に業務フローをメンテナンスしながら、継続して業務の効率化に活用できる必要がありました。

また、全体最適化の実現を通じ、システム運用コストの削減も視野に入れました。福岡市には従来のシステム調達手法から脱却したいという思いがありました。以前はオーダーメイドでシステムを構築していましたが、カスタマイズを重ねていくうちにランニングコストが大きくなっていました。パッケージ製品であれば、全国規模の法改正などにも大きなコストをかけずにアップデートできます。業務に合わせてシステムを組むより、業務をパッケージに合わせて見直す方が、コスト削減が見込めるだけでなく、システム維持の面からも容易で効率的だと判断しました。この考えに基づき、業務フローを用いて業務を見える化したうえで業務の標準化を進めることとしました。

― なぜ福岡市はiGrafxを導入したのでしょうか

平成27年度に策定したシステム刷新計画において、3つの大きな柱の1つに「業務プロセスの改革」を掲げ、業務プロセスを可視化する手法としてBPMNを採用しました。国際標準の表記法であることと、国の機関で情報化を推進する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が、「地方公共団体の情報システム調達における機能要件の表記方法利用ガイド(平成27年3月)」を策定し、BPMNの導入を推奨していることが、採用した要因となりました。

改革を進めるために、フレームワークとして、As-Is / To-Be分析を行う必要がありました。As-Isで現状を把握し、理想のあるべき姿を実現させるためには、業務プロセスの「見える化(可視化)」が大切なキーワードとなります。そこで、BPMNを用いた業務フローを作成することにしました。今後長く使用していくため製品の選定にあたっては、「①容易な操作性、②マニュアルとしての活用性、③問題・課題管理の容易さ、④共有性」を重点におき、その全てにおいて機能が充実している製品を導入することにしました。

システム導入にあたり、BPMNによる業務フローは職員とIT事業者間の共通言語となり、要件の洗い出しや精緻化が容易となりました。業務可視化のために導入当時の担当者はセミナーなどで豊富な知見を得ており、BPMN2.0に完全対応する製品の中から比較検討し、フロー作成が簡易であり、作成したフローが有効活用できる機能を多数備えていた点からiGrafxを選択しました。

― なぜ福岡市では業務フローを全庁公開しているのでしょうか

システム刷新対象である住民基本業務、税業務、人事給与業務、社会保障系業務について業務フローを作成しています。全庁OAシステム(職員ポータルサイト)でiGrafxを公開し、全職員の端末から閲覧できるようにしています。

iGrafxは、業務改善のための可視化、部署間の連携強化に活用しています。そのほか、業務フロー型マニュアルとして、新人研修にも活用しています。iGrafxでフローを作成できるのは本庁の所管課のみですが、端末からコメントを残すこともできるので、リアルタイムで相互の情報伝達が可能です。

これらの業務フロー活用の目的や効果については、業務フロー編集担当者の研修時や通知等で周知することで意識付けを図っています。

業務フロー(BPMNツール)の活用と環境整備について

業務フロー(BPMNツール)の活用と環境整備について

― どのようにして業務フローを公開しているのでしょうか

2020年度から全庁OAシステム(職員ポータル)のトップ画面にアイコンを置いています。以前はパスワードが必要で階層が深い場所に置かれていましたが、現在はワンクリック(シングルサインオン)で業務フローにログインが可能ですし、ログイン後も分かり易いメニュー表示をすることで、簡単に目的の業務フローに辿りつくことができます。また、フローの各所で必要となる規程や様式等のデータファイルを埋め込めるようになっているので、情報を探す手間もなく、必要なときに一連のデータへすぐにアクセスできるようになりました。

― iGrafx導入以前と比較して、どのような問題が改善されましたか

行政機関の特徴なのかもしれませんが、部署間の横の繋がりの薄い「縦割り」の状態で、自身のいる部署以外のことが理解しにくい環境でした。例えば他部署から来た書類の処理について「急いで」と言われても、その理由がわかりませんでした。しかしiGrafxで作成した業務フローを見ると、ステークホルダー(関係者)が並んで表示されるため、業務の相関性や流れが明確に把握でき、自分の業務と次の繋がる業務が分かることで、なぜ急ぐ必要があるのか理解できます。

また、以前は情報の抜け漏れがあったのですが、フローに書き出すことで必要な情報が明確になり、抜け漏れがなくなりました。

エクセルの互換性や可視化範囲の広さが秀逸なiGrafx

― iGrafxを利用してみて、どのようなことを感じましたか

まずエクセル連携機能が便利だと思いました。初心者がいきなりフローを作成しようと思うとハードルが高いと感じますが、iGrafxはExcelの業務手順書(順番に業務を書き出したもの)からフローが自動作成できるので、誰でもすぐに扱えます。またiGrafxは、業務フローから簡単に業務手順書をExcel出力できる機能があり、この手順書を元にシステム構築時の機能要件一覧を作成することも可能です。システム刷新では、機能要件一覧が重要な為、この機能はフローを書けば手順書も出来上がり、一石二鳥でとても便利です。

【BPMNで表記した業務フローの例】※福岡市のフローではなく当社パッケージサンプル

【BPMNで表記した業務フローの例】※福岡市のフローではなく当社パッケージサンプル

【業務フローと連携する業務手順書】※福岡市の業務手順書ではなく当社パッケージサンプル

【業務フローと連携する業務手順書】※福岡市の業務手順書ではなく当社パッケージサンプル

― 他にも利用されて気づいたことはありますか。

iGrafxはシステムを扱う部分だけでなく、人間が行う手作業の業務も可視化できるのが便利だと思いました。私たちの業務には、システムを使わない業務もたくさんあります。市民の方に手書きで申請書を書いていただいたり、職員がその書類をチェックしたりすることもあります。RPAを検討する際も、人が行う手作業のどの範囲までをロボット化するか等について、検討しやすいと感じています。

また、iGrafxは具体的な手順の内容や参考資料データをフローの中に一元的に紐づけて埋め込める機能や、フロー内に業務で使用するファイルを紐づけられるリンク機能も優秀だと思いました。初任者でもフローを辿りながら適切な資料を参照することができます。また、規程等のフロー内のデータファイルに変更があった場合、一つの規程ファイルを変更するだけで他のフローにも使用されている同じ規程ファイルが全て自動で更新されます。これは規程変更や法改正があった時などに、本当に便利だと感じました。ユーザーインターフェースを考えて作られていて、汎用性が高いと思います。

iGrafxの機能を最大限活用するために、実践的な研修を毎年実施

― どのような研修を実施されていますか

サン・プラニング・システムズさんに、毎年研修をお願いしています。参加者は、60~70名にのぼります。

研修の時間は2時間半。私たちからも要望を出して、福岡市独自の研修プログラムを組んでいただいています。ツール操作だけではなく、福岡市における可視化の意義の講習やBPMNを使った業務可視化演習など、かなり濃密で実践的な研修を実施していただいています。

― 研修で工夫されていることはどのようなことですか

講義の最初に、業務フローをうまく活用している部署の活用例を冒頭説明し、「ツールを使うと便利になる」というメリットを初めに感じてもらうことで、職員の興味を高めています。初めは分かりにくかったシステム専門用語の目次が多く並ぶ研修テキストも、目次を「取扱要領と紐づける」などと具体的な操作の「目的」の内容に変更することで、職員が活用しやすいように改編していきました。

そして操作説明だけでなく、受講者には実際にフローのサンプルを演習で作成してもらっています。システムを導入して終わりではなく、現場職員に業務フローの有用性の理解を深めてもらい、毎年更新して最新化していく担当者として当事者意識を持ってもらう為、このような研修を毎年繰り返し行うことも大切だと思います。

iGrafxの機能を最大限活用するために、実践的な研修を毎年実施

iGrafxの機能を最大限活用するために、実践的な研修を毎年実施

― 研修参加者の反応は、いかがですか

研修内容を見直してからは、最初の頃とは全く反応が違います。研修を受けるのは本庁の編集担当者なので市職員の一部だけなのですが、研修で手ごたえを感じた受講者が「研修に参加した私たちだけが学ぶのはもったいない、職場に戻ってみんなで共有したい」と、独自に課内で研修を行っているケースもあります。やる気のある職員が業務フロー活用の有用性を広めようと、こういった動きをしてくれるのは嬉しいですね。

福岡市役所 河地様

福岡市役所 河地様

「業務フローを用いて業務プロセス改革を実施しましたが、システム刷新が完了したから終わりではなく、好循環を継続させていくために、研修には特に力を入れて業務フローの活用を推進しています」

サン・プラニング・システムズへの評価と期待

― サン・プラニング・システムズへの評価をお聞かせください。

サン・プラニング・システムズさんは、システムや研修内容の見直しなど、いろいろなリクエストに対し全力で応えてもらっていて、良きパートナーだと感じています。研修受講者からも「講師の方の熱意が伝わってきた」という感想がありました。単にツールを販売するだけでなく、可視化による業務改善の定着化まで親身になって協力していただけるので安心です。

また、業務上の機密事項が記載された規程ファイルなどは、業務フローを公開していても、業務フローに埋め込んだ規程ファイルまで開けるのは関係部署の職員のみにする機能の設定など、きめ細やかな配慮をしていただきました。

そして、さきほど申し上げた研修受講者に伝わるようにと熱血な研修も、非常にありがたいです。

― 今後、目指していることはどのようなことですか

システム刷新に関係していなくても、これからシステム化を検討している職場などにフローを浸透させたいです。業務改善に役立つと思いますし、部署同士の連携も強化できます。

あとは、やはりRPA(ロボット)化への活用です。これから国の新しいシステム標準化の基準が明確になりますので、それに合わせて対応していきたいと思います。

サン・プラニング・システムズさんは、独自のソリューションをお持ちなので、ぜひ、今後も新しいアイデアをご提案いただきたいと思っています。

まとめ

現場の担当者が自ら問題点や目的を分析し、巨大なデータを業務フローとして活用している福岡市様。日本におけるBPMN導入の先駆者であり、素晴らしい成功例でもあります。包括的なBPMNツールであるiGrafxのポテンシャルを福岡市様の発展にますます生かしていただけますよう、サン・プラニング・システムズ一同願っております。

【業務プロセス改革事例】全国に先駆けBPMNでフローを作成し業務プロセス改革を実施-福岡市役所様

福岡市役所 総務企画局 ICT戦略室 システム刷新課 中上課長(左中央)
河地氏(右中央)

株式会社サン・プラニング・システムズ(左右各2名)
左より玉林、河村、鈴木、谷澤

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

* 取材日時 2020年12月
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。

* iGrafx® FlowCharter®、iGrafx Process™、iGrafx Platform®はiGrafx LLC(アメリカ合衆国)の製品です。SOX+はサン・プラニング・システムズの製品です。iGrafx®、iGrafx FlowCharter®、iGrafx Process™、iGrafx IDEF0®、およびiGrafx Platform®は、アメリカ合衆国、および/またはその他の国々における、iGrafx LLCおよび/またはその子会社の商標または商標登録です。
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